らはいむ

恍惚の海

セルマ・ソングズ~ミュージック・フロム・ダンサー・イン・ザ・ダーク
ビョーク



「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という映画の中で、
「I've seen it all.」を歌う主人公セルマの表情が
誰かに似ている。どこかで会ったことがある。
うーん・・・
そうだ!あの人だ。あの時、出会った女の人だ。






私が小学校1年くらいの頃。

仕事場のイベントに
母は、弟だけ連れて夕方から出かけていった。
私は、どうして自分も連れて行ってくれないの、と泣きながらその後を追いかけた。

当時、母は、看護婦(あえて、“士”でなく“婦”で。当時の母のイメージを残したいので。)として
働いていた。
心を“病んだ”人たちのための場所で。

母をたずねて3キロメートル。浜辺のすぐそばにある殺風景な病院に到着。

どこから中に入っていいのかわからなくて、うろうろしていたら
上の窓から、声をかけられた。女の人だった。

「おかあさんをさがしてるの?まあ!あなたのおかあさん、かんごふさん?
そう、そうなのね!!あなたのおかあさんは、はくいのてんしよ。
てんし。はくいの。はくいのてんし。はくいのて・・・」
彼女は恍惚とした表情で、そう繰り返していた。

窓には鉄格子。

彼女がいったい誰のことを指しているのかは、はっきりわからないが
とにかく、母は「はくいのてんし」らしいので、ちょっと嬉しかった。
彼女も白い服を着ていたから、「はくいのてんし」?

結局、母を見つけることができなかったけれど、
私は何となく満ち足りた気分で家路についた。


◇  ◇  ◇


何かの本で読んだことがある。

正気とは
狂気の海に頼りなくかかる、か細い蜘蛛の糸のようなものだと。
いっそのこと、狂気の渦に飛び込んでしまえれば、どんなに楽かと。

それでも人は
いつ切れるかもわからない、いつまで続くかもわからない
修羅の道を歩き続ける。

あなたも。わたしも。それぞれに。

◇  ◇  ◇


もし、誰かが鉄格子のムコウに閉じ込められて
「ここは、自分の場所ではない。」と泣き・叫ぶならば
きっとそこは彼の場所ではないのだろう。

そして

もし、何らかの「力」が、無理やりに
彼をムコウ側へ閉じ込めようとするならば
その「力」こそ、狂気から生じたものなのでは?と
疑ったほうがいいのではないか。




幸せそうな「はくいのてんし」は、恍惚の海に完全に溶け込んだ?

それとも、いまだに泣き・叫んでいる?


わからない。
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by ruthk | 2005-11-28 21:08 | かいそうろく

わたしからわたしへの私信
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