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らはいむ

母の反省

母が、毎朝通勤中に聴くラジオ番組で
「いい話を聞いた。いろいろ反省した。」と
真面目な顔をして言った。

なんでも、その話というのは、要約すると
「死者を言い訳にしてはいけない。」ということらしい。


母が、何に反省したのかというと、

5年くらい前、とある山奥の寂れた村の小さなお葬式で
母がしたことについて、だ。ごくごく個人的なこと。

あの時、私も、その場にいた。弟もいた。

母の近しい人のお葬式で
その人に一番近しいとされる人が、喪主として
“感動的”な言葉で埋められた“素晴らしい”挨拶の最中、
母は怒りに涙を流しながら、その人に食ってかかってしまったのだ。

私は、“世間的常識”見地から、一応止める素振りはみせたが、結局、止めるのをやめた。
弟は、何も行動を起こさず、じっと見ていた。
その場にいる誰もが、止めることをしなかった。たぶん、できなかったのだと思う。

「もういいがね・・・。“みんな知ってる”んだから。」と
すぐ、そばにいた、母の同級生にあたる人が、小さな声で
母を気遣うように言ったのが聞こえた。

あとで親戚筋数人から、「何て恥さらしなことを」と詰られた。
たしかにね、ムラの“世間的常識”から見れば、大恥さらし。


あの時、私は、母を強く止めるべきだったのだろうか。
もちろん“世間的常識”“恥”の見地から、ではない。


心のどこかで気にしていた。


それが、5年以上もたった今になって、
ふと、母が「反省」を口にしたので、ちょっとびっくりした。

そして、母の反省の理由となった
「死者を言い訳にするな。亡くなった人を、自分に都合よく使うな。争いの元にするな。」
という話は、なるほど、そうだよなあ、と印象に残った。



by ruthk | 2006-07-17 00:17 | かいそうろく

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